したまち住宅研究会


「したまち住宅」というカテゴリーを考えます。「したまち」と言っても必ずしも建設場所や規模を限定するものではありません。下町エリアに象徴されるような与条件に的確に答えられた建築のことを示しています。「小さな敷地」「細長い敷地」「軟弱地盤」「日照障害」「通風障害」「厳しい防火指定」「困難な接道」などなど。しかし下町エリアにはこれらを上回る魅力がたくさんあります。「利便性」「高容積率」「社会基盤の充実」「地域コミュニティー」そして何より、お互いを慮(オモンバカ)る気持ちを持った「住民意識」です。「思い+はかる」が音変化して出来た言葉だそうですが僕は好きです。とかく家を建てる時は「自分の土地に自分のお金で法令遵守さえしていれば何をやっても良いだろう!」と考えがちです。これは権利の主張です。しかし下町の住民意識は違います。隣近所にご迷惑にはならないかと思を巡らします。まさに「慮る」気持ちです。
 住宅に社会性を!と夢を抱きます。洒落臭いかもしれませんが建築家が夢を語らずしてどうするかと奮起してみます。極めて個人的なものである住宅に、少しで良いのでみんなの場所をつくってみるという意味です。道路に面してベンチを置いてみる。路地を歩くのが楽しくなるように植栽を植えてみる。小さな出窓をつくって外に向けて飾り物をしてみる・・・。「私はこういう人です、どうぞよろしく」とまちに向けて挨拶をしているような仕掛けです。
 住宅内部にも配慮すべきことがたくさんあります。いかにして風を通すか、いかにして夏の陽射しを遮り冬の陽射しを取り込むか。プライバシーを守りながらどうやってまちに開くのか。施工方法や材料の選定にも気遣いが必要です。郊外型の家づくりとは大きく異なる「したまち住宅」を研究し、実践してゆきたいと考えています。賛同し、共に考えてくださる建築家、そして建主の方のお声をお待ちしています。



したまち住宅の標準形として『下町家』というプロトタイプを提案します。『下町家』は文字通り「下町」「町家」を合わせた造語です。東京の下町に代表されるような密集地に京都などに見られる町家の設計手法を取り入れてつくる都市型住宅の一つのカタチです。