都市に暮らす知恵ー①

 都市部に家を建てる場合、敷地面積が10坪程度と非常に小さい事も少なくなくありません。相続など理由は様々ですが、かつては大きかった敷地が分割を繰り返し、人が住める極限まで小さくなったわけです。それはまるで生物の成長に見る細胞分裂のようでもあります。
 さてこのような小さな敷地に快適な家を建てるにはどうすれば良いでしょうか。よくある不動産広告のような部屋数と面積だけを確保しようとすることだけを考えた通り一遍の方法では決して快適な家にはなりません。小さな敷地にはそれなりの様々な設計手法があるのです。
 ここに紹介する「ハーブテーブルの家」は3階の床に段差を設けて2階とつなげ、また窓側にスリットを設けて風の通り道をつくることで家の中の空気を対流させることを試みたものです。冬は2階のガスファンヒーター1台で、夏は3階のエアコン1台で快適に過ごすことが可能になります。風を循環させるために工夫した断面計画が変化に富んだ天井を生み面積以上の心理的拡がりを生み出しています。

作品キーワードハーブテーブルのある家
 風通し 省エネ

都市に暮らす知恵ー②

 風通しに加えてとても大切なことは各階が孤立しないように配慮することです。小さな土地の場合、各階は重箱のように重なり分断してしまいます。そのため気配などはまったく感じられなくなり、まして見えることなど諦めざるを得ないということになります。そこで「マルコビッチな家」は半階上がる毎に部屋があるスキップフロア形式としてみました。家全体が大きな立体ワンルームといった雰囲気です。これによりどこにいても声が聞こえて視線も届きやすい、家族の気配が感じられる家となるわけです。段差を無くすことだけがバリアフリーではないのです。

SASAKI YOSHIKI
ARCHITECTS
STUDIO